さて、第5章で2小節という短いMIDIデータを作成したわけですけれども、今回は、いったいどのような形のデータで格納されているのかを見てみましょう。
また、DTMで重要なトラックやチャンネルなどの概念について勉強してみましょう!
その前に、第5章で作成したMIDIデータ「smp05-01.MID」をダウンロードしておいてくださいね!
まずはじめに、シーケンサーと音源の関係を整理しながら、前回入力したMIDIデータの中身を見ていきたいと思います。
シーケンサーと音源の関係など理解してないと、今後出てくるトラックとかチャンネルとかいう言葉が出てきても、よく分からないと思いますのでね(おいらは理解するのに時間がかかりました)。
いわゆる生楽器はどのようにして音が出るのかわかりますよね。
ピアノだったら鍵盤を弾くとハンマーが弦を叩いて音が出ます。
太鼓だったら張ってある皮を叩くことで音が出ます。
しかし、電子楽器ではどうでしょう。
エレクトリック・ピアノの鍵盤を叩いてもハンマーが弦を弾いて音が出るわけでもありません。
鍵盤を押したという情報(ノート・オン)が内蔵されている音源に伝わって音が出るんですね(図6−1の@)。
逆に鍵盤を離したら、音を止めなさい(止め始めなさい?)という情報(ノート・オフ)が音源に伝わるんですね。
おおざっぱにいって、電子楽器での演奏は、この繰り返しでなりたっています。
この鍵盤を押した情報とか離した情報は、MIDI情報の一種ですが、これらMIDI情報はデジタルデータなので第4章でも書いたように、記録、加工が容易です。
記録しておけば、再生するだけでまったく同じように演奏されますし、修正も簡単に行えます。
シーケンサーは、このデジタルデータを記録・修正・再生を行う機械のようなもので、音源はこのシーケンサーから送られてくる情報をMIDI INから受け取り、これを元に演奏を行います(図1のA)。
逆にキーボードを演奏すると、MIDI OUTからシーケンサーにMIDIデータが送信され、リアルタイム・レコーディングができます(図1のB)。
なんとなくシーケンサーと音源の関係がわかってきたでしょうか?
では、どのようなデータが音源に音をださせるのかということで、音を構成する要素というものを考えてみましょう。
音色は当たり前ですが、そのほか基本的なものに音の高さ、音の長さ、音の強さ、この3つが分かればいいですね。
これらのうち音の高さ、音の長さ、音の強さの3要素はMIDIでは、それぞれノートナンバー、デュレーション、ベロシティという情報で表すことができます。
ノートナンバーですが、第5章でも書いてるように、シーケンサーソフトではノートナンバー以外に英語式の音の高さでも扱えるので音符が読めれば別に意識することは少ないと思います。
デュレーションは音の長さを表し、シーケンサーソフトの分解能にもよりますが、4部音符の長さで960、8部音符で480というふうに数字で表されます。
ただし、これはきっちり100%弾いた場合の話で、楽譜に4部音符が載っててもスタッカートやテヌートでは弾く時間は違いますよね。
この場合、スタッカートの場合は960の60%とか、テヌートの場合は960の120%とかで値を入れてやらなくてはなりません。
というのは、MIDIでは音符の情報というものは持ってないんです。
持ってるのは、どのタイミングでどの長さ音を鳴らすという、相対的な情報しか持っていないので、データを作成するときにちゃんと自分で値を考えなくてはいけないんです(スタッカートやテヌートぐらいは)。
ちなみに、図6−2の「Meas:Bt:Tik」は小節:拍:ティックで音を発音するタイミングを表していますが、このティックというのは、000〜960、つまり4部音符を960の1単位で発音タイミングを表現することができます。
それより、大きいタイミングはビート、メジャー、つまり拍、小節と組み合わせて使うことになります。
最後に音の強さ、ベロシティですがこれは鍵盤を弾く(離す)スピードのことで、結果的にこの値が大きければ大きい(強い)音、小さければ小さい(弱い)音がでます。
シンセサイザーなどの音源の中には、ベロシティの強さでフィルタや音色を切り替えるなどの機能が使えるのもあるので調べてしたらどうでしょうか(DTM音源にはあるのかな?)
いまだに、おいらが分からないのがノートオフ・ベロシティなんですけど、ニュアンス的には分かるんだけれども、この値を変えることによって音がどのように変わるのか今のところ分かんないです。
これらの要素をひとまとめにしたデータをノート(オン・オフ)といい、MIDIデータの基本中の基本データです。

では、図6−2を見てください。
これはMSSで前章で作成したMIDIデータ(smp05-01.MID)を、イベントリストという形で見たものです(他のシーケンサーソフトでみても、同じような構成でみれると思います)。
MIDIデータは、このようなイベントというデータの集まりで構成されていて、この図のようにノート以外にコントロールチェンジ、プログラムチェンジ、ピッチベンド、システムエクスクルーシブメッセージなどいくつかの種類のイベントがあります。
では、この図で、「Event Kind」と「Value」を見てください。
「Event Kind」に「ノート」とありますが、これはMIDIのノートデータですよ、ということを表しています。
「Value」のところに、「C 4 ↓100 960 ↑100」という数字が並んでますが、これは左から順に以下のようなことを表しています。
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C4
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ノートナンバー (に対応した英語式の音の高さ) |
4オクターブのド | ノートナンバーの値では 60 |
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↓100
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ノートオン・ベロシティ | 鍵盤を弾く速さ 100 |
0〜127の値 |
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960
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デュレーション | 音の長さ960 (4部音符の長さ) |
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↑100
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ノートオフ・ベロシティ | 鍵盤を離す速さ 100 |
0〜127の値 |
さて、最後にトラックとチャンネルの関係についてみてみましょう。
図6−2のイベントリストに、「Tr.」、「Ch」という項目がありますが、これがトラックとチャンネルを表しています。
サンプルデータは、シンプルなんで1チャンネル1トラックで完結していますが、これはいったいどういうものでしょう。
通常、DTMで使用するGM、XG、GS規格ではチャンネルは16チャンネルと決まられていますが、このチャンネルというのは16パートと考えてもらえればいいと思います。
つまり、最大16パートを使ってアンサンブル演奏が可能ということです。
ちなみに、ローランドのSC−88やヤマハのMU80などでは1台の音源で32パート、つまり32チャンネルを使用した演奏が可能ですが、これは1台に16チャンネルの音源を2つ、16チャンネル×2持っているからです。
そして、チャンネルで気をつけなくてはならないのが10チャンネルで、初期設定ではこのチャンネルはGM、XG、GS規格とも(XG、GSはGMと上位互換があるんであたりまえ?)ドラムパート専用になっています。
この10チャンネルでいくらきれいなメロディを入力しても、「ズンタタ、ドン、ジャン」といった演奏しかされないので気をつけてください。
では、トラックとは何かというと、演奏を記録する箱のようなものと考えてもらえばいいと思います。
このトラックというのは、もともとテープレコーダーのレコーディングするときに使われている言葉で、パートごとに、例えばギターのパート、コーラスのパート、ベースのパートといったパートごとに音を採っていくために、テープを帯状に分割したものなんですね(図6−3のT)。
シーケンサーでいう、トラックも同じように考えてもらえばいいと思うんですけど、もっと柔軟で拡張性があると言ってもいいでしょう。
なんといっても、シーケンスソフトの多くは数十〜数百のトラックを使えるからですね。
もちろん、1チャンネルに1トラックということで使ってもいいですが(シンセ内蔵のシーケンサーはだいたいこれですよね)。
ピアノの右手のメロディで1トラック、左手の伴奏で1トラックとか、ドラムパートでバスで1トラック、スネアで1トラック、シンバルで1トラックというような贅沢な使い方をしてもいいですよね。
この方法は、後で伴奏だけや、スネアの音だけ微妙にずらしたり、といった編集が簡単にできるので便利です。
別の使い方として、リアルタイムレコーディングをしていくときに1テイクごとにトラックを変えていくことで、複数のテイクを記録でき、さらにはうまく演奏できた部分をつなげるなんて芸当も簡単にできます。
あと、こんな使い方をする人はいないと思うけど、1トラックに全チャンネルのデータを入れてしまっても、別に構わないと思います(シーケンサーによってはマルチチャンネルが使えないので、使わない方が賢明です)。
さて、ここで図6−3のUをみてください、シーケンサーに、ピアノ、ベース、ドラムスの演奏データが、それぞれトラック1、トラック2、トラック3に入ってますね。
そして、トラック1はチャンネル1に、トラック2にはチャンネル2に、トラック3はチャンネル10(チャンネル3じゃないところがミソです)に割り当てられていますよね!
シーケンサーで再生すると、音源は各チャンネルで指定された音色で演奏を行います。
なんとなくわかったでしょうか?
ノート情報と、このチャンネル、トラックが分かれば、DTMの第1関門?は突破したと言っても過言じゃないでしょう!
次回は、音色の選択を行うプログラムチェンジや、複数トラックを使った簡単なMIDIデータを作ってみましょう。