第7章 DTM基礎・プログラムチェンジ編

 前回は、MIDIの基本情報、ノート・オン/オフを勉強しましたが、今回は、複数パートの入力、音色の設定を行っていきたいと思います。

 前の章で出てきたトラック、チャンネルの概念が分かれば、複数パートの入力・演奏はそう難しくないと思います。
 シーケンサーではチャンネルごと、トラックごとのデータの管理が重要なので、よく分からない方は、前の章をもう一度おさらいしてください。

譜面入力の実際

図7−1 譜面その2

 データの入力を行ってきたいと思いますが、例として「X JapanのENDLESS RAIN」譜面その2の最初の4小節を入力してみましょう。
 トラック1に1チャンネル、トラック2に2チャンネルを割り当て、1トラックにメロディ、2トラックに伴奏を入力していきたいと思います。
 譜面(スコアロール)入力のよさは、五線譜の上に譜面通りに音符をおいていくだけで、曲が完成するという手軽さがあります。
 では、さっそく譜面入力の準備をしたいと思います。

 譜面入力に限らないんですが、前準備として、まずはトラックとチャンネルの割り当てを行いましょう。
 前の章でもありましたが、トラック画面のトラック1のチャンネル部分をクリックして1チャンネル、トラック2を2チャンネルに設定してください。
 そして、テンポが120になってるので、これを78ぐらいに設定してください。
 次に、トラック1の一番左側のところ(001と書いてある左側)をクリックすると「■」が表示されます。
 同様に、トラック2に「■」が表示されていることを確認して、ト音記号のアイコンをクリックしてください。

図7−2 スコアロール入力画面

 図7−2のようなスコアロール入力画面が開くと思います。
 画面にも「Track1」とかでていますが、上の五線譜がトラック1の五線譜、下の五線譜がトラック2の五線譜です。
 スコアロールメニューの入力ボタンを押してください。
 これで入力ができるようになるので、音符(dul:デュレーション)を選んで五線譜の上に並べていってください。
 音符を選んで置いていかなくても、音の長さ分ドラッグしてもいいし、音符を置いて「スペースキー」を押して音符をのばしてもいいです。
 ポイントは、その譜面で使用する一番小さい音符を設定しておいて、それより長い音符はスペースでのばしていけるということです。

 また、ソフトウェア・キーボード(「ウインドウ」メニューのソフトウェアキーボードで表示されます)や、MIDIケーブルで接続したキーボードからでも音符を入力できます(この場合はステップ入力かな?)。
 詳しい使い方は、MSSのヘルプなどをみてください。

 他のシーケンサーソフトを使っていても、譜面入力ができるものなら、同じような入力が可能だと思います。
 譜面入力ができない場合は、ステップ入力、ピアノロール入力、なんでもいいのでデータを入力してみてください。
 めんどくさい方は、以下に譜面その2のMIDIデータがあるのでダウンロードしてください。
 トラック2も同様に入力したら、再生ボタンを押してください。
 ピアノの音色でアンサンブル演奏はされましたか?

サンプルファイル 譜面2のMIDIファイル smp07-01.mid

音色の切り替え方法

 では、いよいよ、音色を変える方法をやってみましょう。

 音色を切り替えるには、プログラムチェンジというコマンドを使います。
 GM音源だと、プログラムナンバー1から128の128音色の中から好きな音色を使うことができます。
 GS音源やXG音源では、バンクセレクトという方法を用いて、128音色以上の音色から選択できるようになります。

 GM音源では、プログラムナンバーの1は、「Piano1」、2は「Piano2」、11は「Music Box」という風に1から128まで、音色のキャラクターが決められています(第4章を参照)。
 GS音源、XG音源でも、バンクセレクトを使わないなら、このGM音源と同じ音色を選択できます。
 この取り決めのおかげで、大部分のパソコンで同じようなニュアンスの演奏ができるんでしたよね。
 逆に、GM、GS、XG規格じゃない音源などでは、プログラム番号に全く違うキャラクターの音色が割り当てられている可能性があるんで気をつけてください。

 それでは、チャンネル1にプログラムナンバー11の「Music Box」、チャンネル2にプログラムナンバー28の「Clean Gt.」を割り当ててみましょう。
 今、トラック画面でトラック1とトラック2に「■」のマークがついていると思いますので、イベントリストのアイコンをクリックしてください。
 図7−3のように、トラック1とトラック2に入っているイベント情報(ノート情報のみですね)が表示されていると思います。
 そこで、イベント挿入アイコンクリックして「インストゥルメント」を選んでください。
 図7-3のような「インストゥルメント」ダイアログが表示されるので、11の「Music Box」を選んでください。

 図7−3 イベントリスト画面とインストゥルメント選択ダイアログ

 イベントリストにプログラムチェンジのイベントが追加されたと思います(図7−4)。
 これは、「トラック1のイベントで、チャンネル1、1小節1拍のティック0の位置にプログラムチェンジで値が10のイベント」ということを表しています。

図7−4 プログラムチェンジを挿入したイベントリスト

 これを見たら、「あれっ」と思わないですか。
 プログラムナンバー11の「Music Box」を選んだのに、値が10になってるんですよね。
 プログラムナンバーの1〜127は実際のMIDIデータの値で0〜127(00Hから7FH)に対応しているんです。
 これは、もうこうなってるんで、あれこれ考えず素直にそう覚えておいてください(おいらは、はじめソフトのバグかと思ってました)。 で、もし図7−4のようになっていなかったら、このイベントの「Value」のところをクリックして、チャンネルやタイミングを表1のように変えてください。
 また、図7−3のように「グループ」がGMになってないときは、「インストゥルメント」ダイアログの「使用リストの変更」ボタンをクリックして、使用しているデバイスのチャンネルの「インストゥルメント・マップ」を全部GM音源に変更してみてください。
 SC−55やMU80など、SG音源やXG音源を使っている方は、対応した「インストゥルメント・マップ」に変えても、かまいません。

 その場合、インストゥルメントのグループごとにインストゥルメントが表示されますので、対応したインストゥルメントを選択してください。
 ちなみにインストゥルメント名の前の数字はプログラム番号−バリエーション番号(バンクセレクトで指定する)を表しています(ですから、1−0はGM音源の配列と同じ、プログラムナンバー0の「Piano1」のことです)。

 シーケンサーソフトの、このような「インストゥルメント・マップ」のような機能を使用すると、バンクセレクトなどの仕組みが分からなくても、簡単にたくさんの音色の中から好みの音色を選択することができます。
 ですから、GS音源やXG音源などではバンクセレクトというものを意識しなくても、数百音色の音色を選択できます。
 ですが、おいらは生粋のGS音源やXG音源を持っていないので、間違ったことを書いてしまうかもしれないので、ここではバンクセレクトについては詳しい説明は控えます。

 同じように、トラック2の2チャンネルをプログラムナンバー28の「Clean Gt.」をイベントに追加してください。
 追加できたら、イベントは図7−4のようになると思います。
 ただし、「インスタルメント・マップ」がGM音源にしてないと、コントロールチェンジ・イベントのバンクセレクトが追加される場合があるかもしれませんが、これはそのままでもかまいません。

 追加できたら、再生ボタンを押してください。
 ちゃんと、「Music Box」と「Clean Gt.」の音色でアンサンブル演奏ができましたか。

 音色の選択方法が分かったんで、どんどん音色を切り替えて演奏させてみてください。
 曲を作っていく際に、パートごとの音色設定はかなり重要で、この作業で曲の印象がかなり決まってきます。
 やっぱり、「X Japan」の「ENDLESS RAIN」はピアノの音色でとこだわって、ピアノの音色に設定するのもよし、全然別の音色を割り当ててもよし、自分の気に入った音色を選んでみてください。

サンプルファイル 譜面2のMIDIファイル
            プログラムチェンジ挿入後
smp07-02.mid

 MSSでは他にプログラムチェンジ・イベントの入力方法として、イベント画面の「イベントの挿入」−イベントで、手動で数値などを選択する方法、トラック画面のパッチを、使用するインストゥルメントで指定しておいて、メニューの「実行」−「トラックの初期化情報挿入」でインストゥルメントのイベントを作成する方法などがあります。

 特に後の方法は、曲を作っている間は、試行錯誤しながら音色を変えていって、完成したら「トラックの初期化情報挿入」で一気に音色やパン、エフェクトなどのイベントを挿入するといった使い方ができて便利です。
 ただし、MIDI形式で保存すると、これらの一時的に設定している情報は保存されないので、MSS形式で保存する必要があります(完成するまではMSS形式で、完成したらMIDI形式で保存−アップロードが基本です)。

〜第7章 End〜