第8章 DTM基礎・ベロシティ&ボリューム編

 前章で各チャンネルに音色を割り当てるプログラム・チェンジを見てきました。
 これを知ってれば、後は楽譜どおりにMIDIデータを作成してやれば、それなりの曲が完成しますが、ある程度かっこうがつく曲にするためには、プラス・アルファが必要になってきます。

 このプラス・アルファがくせ者で、実はおいらもこの段階を勉強中ですが、なかなかうまくいきません。
 それは、楽譜に隠された?音楽表現であるとか、パート間のバランスとか、音色のエディットであるとか、ピッチベンドやモジュレーションなどのうまい使い方だとか、いろいろあるわけです。

 おいらもうまくは使えないんだけど、少しずつ曲作りに必要な知識なんかを載せていきたいと思っています。
 あくまで知識なんで、これを踏み台にしていい曲を作っていってくださいね(機能を知っている、というのと、うまく使えるというのは全然違い、うまい使い方はおいらもよく分かりません。センスの問題ですかね)。

 とりあえずこの章では、音の強さ、大きさを扱うベロシティ、ボリューム、エクスプレッションを整理しながら見ていきたいと思います。

ベロシティ、ボリューム、エクスプレッションの違い

いきなりですが、ベロシティ、ボリューム、エクスプレッション、この3つは音の強さ、大きさを変えたりするものなんだけど、違いって分かります?

 ベロシティは、前に鍵盤をたたく速さのことで、この値が大きければ強い(大きい)音、小さければ弱い(小さい)音がでるといったことを勉強しましたね。
 この3つを整理してみると、下表のようになります。

 
ベロシティ
ボリューム
エクスプレッション
MIDI

ノート・オン・ベロシティ

コントロールチェンジbV

コントロールチェンジ11
効果
 ノート情報に含まれるパラメータで、そのノート情報(1音)の音の大きさを操作できる。0で音がでない。1で一番弱く、127でもっとも強い。  パートごとに音量を変化させるコントロールチェンジで、このボリュームの値を指定した以降のノート情報はすべて、指定されたボリュームの影響を受ける。  やはり、値は0(小)〜127(大)。  やはり音量を変化させるコントロールチェンジで、ボリュームと同様な効果がかけられる。  エクスプレッションもパートごとに効果がかかる。
通常の使い方
 通常は、クレッシェンドやデクレッシェンドなどの表現に使われます。このベロシティをうまく使うことで、人間らしい(単調でない)が表現できます。  通常は、フェードイン、フェードアウト、あるいはフォルテ、フォルテシモなどの表現に使われます。一番使うのは、曲の頭でパート間の音量調整をするのに使います。  通常は、長い持続音の音量変化(クレッシェンドなどの表現)に使われます。ボリュームと効果はにていますが、エクスプレッションは1音に対して効果をかけることが多いようです。
独断コメント
 おいらの作った曲もそうですが、ほとんどこのベロシティの変化を付けてません。このベロシティをうまく使うことがステップアップの早道です。原曲を聞いて強く演奏しているところなどに注意しながら使ってみてください。小節の1拍目の音のベロシティを上げてやるのもいい方法です。  フェードイン、フェードアウトには欠かせない機能ですが、やはり一番重要なのは、パート間のボリュームの調整(補正)でしょうか。音色選びと同様、曲の善し悪しを決める重要な要素なので、じっくりとやってください。このボリュームを上げすぎると、他のパートと相まってスピーカーの音割れを起こすことがあるのでほどほどに。  これを書いてる時点で、おいらはエクスプレッションというものを使ったことがありません(爆)。ですが、サントラやジャズ系の音楽には必須のものだと思います。トランペットなど1音を長〜く吹いてて、その1音の中で音の強弱をつけるのはベロシティでは表現できないですからね〜。まあ、サンプル曲を聴いてもらうと感じが一発で分かると思います。

 この3つのコマンド?はお互いに独立していて、例えば、ベロシティが最大でもボリュームが小さかったら、それなりに小さな音でしか演奏されないし、ボリュームが大きくてもエクスプレッションを小さくすると、音はやはりそれなりのボリュームでしか演奏されません。

 とりあえず、どのような使い方をするのか聞いてみるのが一番早いんで、サンプルを再生してみましょう。
 比較となる標準データを、前の章で作成した「X Japan」「ENDLESS RAIN」のデータを使いたいと思います。
 音色はピアノに変えたものを使った下のサンプルファイルです。

サンプルファイル Endless Rain X Japan
             標準データ
smp08-01.mid

ベロシティの使い方

 標準データを再生しましたか?
 シンプルなピアノのみの曲なんで、それなりに聞けますよね。
 この曲でベロシティを変えてみると、標準の曲とどれくらい違って聞こえるか実験してみましょう。

サンプルファイル Endless Rain X Japan
             ベロシティ変更後データ
smp08-02.mid
図8−1 イベントリスト(ベロシティの強弱)

 実験ということで、ちょっとオーバーに設定して違いが分かるようにしていますが、どうですか?
 一拍目の音のベロシティを大きくしてみましたんですけど、結構感じが変わったと思います。

 図8−1のイベントリストを見ると分かるように、1拍目の音の強さを上げています。

 ちなみにベロシティを一つ一つ変えていってもいいんだけど、大変ですよね。
 MSSをはじめ多くのシーケンサーソフトはベロシティや各種コントロールを、図8−2のように視覚的に、そして一気に変更することができます。

図8−2 コントロール入力(エクスプレッション)

 やりかたは簡単で、例えばピアノ・ロール入力画面(図8−2)のように、「VEL CTRL」のアイコンを押してやると、下の方に、各種コントロールを視覚的に操作できる画面がでます。
 また、「VEL CTRL」のアイコンの右のほうに、操作するコントロールを指定する選択リストが表示されるので、この選択リストから、操作したいコントロールを選択します。
 ここでは、エクスプレッションを選択していますが、ベロシティ、ボリューム、ピッチベンド、モジュレーション、テンポなどあらゆるコントロールを視覚的に操作できます。
 鉛筆マークのアイコンをクリックすることによって、マウスで各種コントロールの操作方法が選択できるけど、その操作方法には、フリー、ライン、カーブがあって、なかなか便利です。

ボリュームの使い方

サンプルファイル Endless Rain X Japan
             ボリューム変更後データ
smp08-03.mid
図8−3 イベントリスト(ボリュームの変更)

 上のサンプルを再生させてみてください。
 ボリュームの使い方の1例ですけど、徐々に音量を大きくしていってクレッシェンド?していってるのがわかるでしょうか。

 図8−3がイベントリストで見たときのデータです。
 当然ですが、チャンネルごとに指定してやらなくてはいけません。

 サンプルでは、単純に1小節ごとにボリュームの値を増やしていっているだけなんですけど、これを逆に小さくしていけばデクレッシェンド?ができますね。

 これは、ボリュームの使い方の1例で、比較表に書いているようにパート間の音量のバランスを調整するのにこのボリュームはよく用いられます。
 またサンプルを、スムーズに使うとフェードイン・アウトが表現できます。

エクスプレッションの使い方

サンプルファイル トランペット演奏
             エクスプレッション使用データ
smp08-04.mid
図8−4 イベントリスト(エクスプレッションの変更)

 サンプルを再生させてみてください。
 トランペットの音色を使ったエクスプレッションのサンプルです。
 おいらも初めてエクスプレッションを使ってみたんで、偉そうなことはいえないんだけど、たぶん、これが一般的なエクスプレッションの使い方だと思います。

 このように、持続音をならしている途中で音量を操作するのは、エクスプレッションを使います。
 ベロシティでは1音全体の強さしかしていできないから、ベロシティで同じようなことはできません。

 かといって、他の人のMIDIデータをみてもボリュームを使って操作してるのもみたことがありません。

 まあ、ともあれ、これらのベロシティ、ボリューム、エクスプレッションを使えれば、なかなかの表現ができるんじゃないでしょうか。

 あとは、経験とセンスの問題だと思うんで、たくさんのMIDIデータを作っていってレベルを上げていきましょう。

〜第8章 End〜