第2章 どこまでMIDIで操作したらいいのか


 第1章を読んで、シンセ(おいらの場合SY99)をDTMで扱うメリットが分かったと思いますが、ここでは、MIDIでどこまで制御するかを検討していきたいと思います。
 このどこまで制御するのかという事柄は、なかなか難しくて、まだ、おいらもどれがベストなのかという結論は出せていません。
 あっと、言い忘れてましたけど、接続については説明はしませんので、「DTM ROOM」のDTM講座第2章を参考にして下さいね!

 おいらはSY99しか持っていないので、限定して書いていきますけど、SY99で曲を作っていく場合、大ざっぱにみて、次のような手順で作っていきますよね。

 1 各パートの音色を決めて、必要なら音色をエディットする。
 2 マルチで各トラック(チャンネル)の音色を設定する。
 3 内蔵シーケンサーで、各トラックのレコーディングをする。
 4 マルチのエフェクトやパン、ボリュームなどを調整する。

 普通は、これ以外に、クオンタイズなどによるシーケンスデータの補正やリズムパターンの作成など、たくさんの行程を得て、曲を完成させていくんですけど、とりあえず、これらの作業は先の手順の中に含まれていると考えて下さい。

 さて、この手順を見てみると、1はボイスエディット、2・4はマルチの設定、3はシーケンスと大きく分けて3分野の機能を駆使していることが分かるでしょうか。
 また、これらのデータは「ボイスデータ」、「マルチデータ」、「ソングデータ」として管理することになりますね。
 まあ、「ALL データ」形式であれば、1ファイルとして、「シンセ ALL」形式と「シーケンス ALL」形式を併用すれば2ファイルで管理できますけどね。

 パソコンのシーケンスソフトを使ってSY99をDTMで操作する場合、「ボイスデータ」、「マルチデータ」、「ソングデータ」のどこまでを管理したらいいのかなんですけど、管理するデータの幅を広げれば広げるほどMIDIデータの作成が難しくなっていきます。
 逆に、SY99側で設定するデータが増えると、曲を演奏しようとする度に、SY99をその曲に対する設定に変えてやる必要があるため、手順が煩雑になります。
 結局、パソコンの方で設定するデータ以外のデータは、SY99側でロード、設定してやる必要があるわけです。

 例えば、パソコン側で演奏情報(ここで、演奏情報とはノート情報やピッチベンドやアフタータッチなどの演奏に直接関係のある情報とします)のみを作成して、SY99で演奏させようとするときは、マルチモードにし、その曲で使う音色の設定やマルチのボイスやエフェクトなどをその曲に合った設定に変えてやってから再生させないと、正しく演奏されないでしょう。

 もし、何もせずに演奏させると、ボイスモードで演奏されたり(単音でしか演奏されない)、そのとき選択してあるマルチ情報(音色やエフェクト)で演奏され、たぶん聞くに耐えない演奏になるでしょう。

 ここで、パソコン側とSY99側の役割を考えるため、SY99の各データの中身がどうなっているのかを整理してみたいと思います(SY99ユーザー以外の人も参考にしてください)。

1 ボイスデータ

 これは、ずばりそのものの音色データです。
 演奏そのものには直接関係ありませんが、この音色によって曲の感じはがらりと変わるので、大変重要なものです。

2 マルチデータ

  マルチの情報には、各トラックの音色、エフェクト、パン、ボリュームなど演奏全体の設定データがあります。

3 ソングデータ

  この中にはノート情報などの演奏を実際行うための演奏情報のデータ、それに加えて、マルチの呼び出し設定(マルチバンクの何番を選択するといった情報)、次のソングを続けて演奏するかどうかなどのデータも含まれます。

 さて、問題は、これらのデータをパソコン側からMIDI情報として扱えるかなんですが、結論からいうと、パソコンからシステムエクスクルーシブという機種特有の情報をMIDIデータとして送ってやれば、SY99の設定のほとんどを扱えます。
 SY99を持ってる人は応用編の付録「13 MIDIのデータフォーマット」(P384〜)を見て下さい(はじめ見たときは、どこかのプログラム言語で書かれた定義文かと思いました)。

 しかし、前述したように、全てをMIDIデータとして扱うのは、かなり大変になります。
 例えば、ボイスデータの設定をする場合には、音色モードを選ぶエクスクルーシブ、AWM2のウェーブフォームを選ぶエクスクルーシブ、アタックタイムのエクスクルーシブなどなど、音色の膨大なパラメーターを、作って送ってやらなくてはなりません。
 はっきりいって、そのパラメーターを自分で1つ1つシステムエクスクルーシブに変換するとしたら、死にます。
 修正なんかするときは、いったいどこを変えたらいいのか分からなくなります。
 音色を作っていくんだったら、SY99の機能を使ってやって言った方がはるかに簡単です。

 考えてばかりいてもしょうがないので、数日間、システムエクスクルーシブメッセージをSY99に送ってどういう動作になるのか実験したんですけど、これがなかなか大変でした。
 なんせ、おいらDTMというものも最近始めたばかりで、おまけにGM音源しか使っていないもんだから、システムエクスクルーシブメッセージというものをいままで使ったことがなかったんですよ。
 実際、SY99の実験を行った時間より、暗号みたいな応用編のマニュアルと格闘してたほうがはるかに長かったですね。
 まあ、だいぶ勉強になったんでよかったですけどね。
 ちなみに、実験の結果については、次の章で書きたいと思います。

 で、実験の結果なんですけど、いちおう3つの案が浮かんできました。
 まだ、実際DTMの環境でSY99用のデータて作ったことないもんで、3つのうちのどの案がいいのかまでは分からないんですけどね。
 それと、実験の中身については次の章で書いていきたいと思います(考え方の決め手となったのは、システムエクスクルーシブメッセージとバルクダンプという機能にありました)。

 その案というのは

1 パソコンは演奏情報の作成にのみ活用し、その後はSY99にデータを取り込み、マルチ情報などを加え、SY99でデータを管理する。

2 ボイスデータ、マルチデータなどはSY99で用意してやり、マルチ、ボイスの選択と演奏情報はパソコンで管理する。

3 ボイスデータ、マルチデータも含めて全てパソコンで管理する。

1の考え方 

 スタンダードな考え方で、データの移植でこの方法を使ってる人は多いはず。

 とにかく、SY99以外のシンセや音源のことは気にしなくていいんだから、演奏情報については、SY99より作成環境が優れていると思われるパソコンを使ったDTM環境で作成してやる。
 作った後は、SY99でそのMIDIファイルを読み込んで、あとはマルチでボイス選択、エフェクト、ボリューム、パンなどを設定していけばいい。完成したら、SY99形式(特になんでもいい、お好みの形式で)で保存してOK!

長所

 ・とにかく、基本的なDTMができればOK!システムエクスクルーシブなんて関係ない。
 ・パソコン持ってないSY99ユーザーでも、ディスクを1枚渡すだけ。ロードして再生するでけの親切設計。

短所

 ・シーケンスデータをパソコンとSY99でディスクでやりとりしなくてはならず、めんどい。
 ・やりとりをするとき、いちいち拡張子を変えてやらなくてはならない(SY99では拡張子midが振り付かない)。

2の考え方

 プログラムチェンジ、コントロールチェンジなどのDTMの基本的な知識だけで実現可能。

 とりあえず、数曲で共通で使用するボイスデータ、マルチデータをSY99側ではじめに用意してやりすれば、システムエクスクルーシブを使わなくても、マルチやボイスレベルの選択はできる。
 ということは、その共通の数曲の範囲ではSY99側で何も設定しなくても、パソコン側からMIDIだけで操作ができる。
 共通のマルチとボイスのデータ−「シンセ ALL」とパソコン側のMIDデータの管理さえできれば、難しい知識はあんまりいらない。I 

長所

 ・インターナル・マルチに16パターンの定義ができるので、最低でも16曲分のマルチ定義はSY99側であらかじめ用意でき十分。
 ・パソコン側ではマルチのバンクセレクト等のみしてやればよいので、DTMの基本的な知識だけで十分。
 ・演奏情報の修正などは、パソコン側で編集できるので、SY99側とパソコン側でディスクを介してのやり取りが不要。

短所

 ・シンセの部分とマルチの部分(シンセ ALL)はSY99側で、演奏情報部分はパソコン側でデータの管理をしなくてはならない。
 ・演奏するとき、必ずSY99をマルチモードに切り替えておく必要がある。
 ・コントロールチェンジなどは、そのままでは使えないものが多い。  

3の考え方

 とにかく、パソコンからMIDIデータを再生させるだけで、SY99を自動的にその曲用に設定して演奏をさせたい。

 とにかく、パソコン側からMIDIだけでSY99を操作・演奏させたい。
 システムエクスクルーシブは使わなくちゃいけないけど、データの管理も使いやすさもこれが一番!
 他のSY99ユーザー(DTM環境のある)にデータを渡すときも、めんどくさい説明なしで、MIDIデータを一つ渡すだけ。
 しかも、DTMからMIDIデータを送信して、シーケンスデータを再度読み込めば、SY99の形式にも保存できる。

長所

 ・とにかく、1曲に必要なすべてのデータをパソコン側で管理できるので便利(最終的に完成したものは)。
 ・MIDIで全部操作するので、パソコンのどんなプレーヤーでも再生するだけで、SY99を操作、演奏させることが可能。
 ・パソコンの多機能プレーヤなどを使うことで、柔軟性の高いアルバム管理、再生環境が出きる。
 ・パソコンで管理できるから、フロッピーディスクベースで管理しなくてもよい(ハードディスクの快適な環境)。
 ・1曲ごとにデータ管理するので、ボイス、マルチの管理は基本的にしなくてもよい(1曲ごとに完結)。

短所

 ・データの容量が大きくなる(特にたくさんのオリジナル・ボイスを使用したとき)。
 ・基本的に、作成中は案2と同じようなデータ管理が必要。
 ・システムエクスクルーシブをはじめ、SY99の機能をかなり勉強しなくてはいけない(これは逆にメリットかも)。
 ・マルチやボイスなどのエクスクルーシブなどを、直接修正するのは基本的に無理(修正ではなく、まるごと差し替えという形を取る)。  

 と、ざっとこんなもんですが、どうでしょうか。
 SY99を単体でしか利用したことがない方は、きっと、ところどころ理解できない部分もあると思います。
 その部分については、次の章の実験の結果を見ればだいたい分かると思いますが、それでもよく分からない方は、メール掲示板のシンセサイザー関連ボードにて質問してください。

 また、DTMの基本的なことを知ってないと、分からないところがかなりあると思います。
 MIDIなどの基本的な概要や機能については、インターネット上に星の数ほどあるDTM関連ページ(リンク集参照)や、このホームページの「DTM ROOM」の「DTM 講座」を参考にしてください。

 一応、おいらが、今の時点で便利と思ってるのが3の方法なんですけど、どうでしょうかね、難しいかもしれないけど。
 とりあえず、この講座でもこの案3の方法でやっていこうとは思うんですけど、もっとよい方法が見つかったら、そのときに報告したいと思ってます。  

P.S.
あと、すでにSY99(に限らずシンセサイザー、音源)をDTM側で管理してる人はたくさんいると思うんだけど、よければ、どこまでやってるか教えていただければ、とても参考になるんんで、やはりメール掲示板のシンセサイザー関連ボード、またはDTM関連ボードにて教えてください。

〜第2章 End〜