第3章 実験!パソコンでSY99をMIDI操作
      バンクセレクト編

 第2章の結論で、とりあえずパソコンのDTM環境からSY99の操作を全てやってしまおうという結論を出しました。
 で、その理由や長所・短所なんかをざっと書いてたんだけど、今回はその検証を行った時の実験の様子とその結果を交えながら、一緒に実践をしていきましょうか。 

 とりあえず、その時使用したMIDIデータなんかも載せてますので、DLして実際にこの実験にあることを行ってみてください。
 文章を眺めるだけじゃなく、実際に体験した方が一番理解が深まりますからね!
 ちなみに、このデータは当然SY99用のデータなんで、他のシンセや音源を使っている場合には、当然動かないもしくはおかしい動作をすると思いますので、気を付けてください。 

注意事項
 なお、このMIDIデータの中には、自動的にボイスバンクやマルチのバンクにデータを記録していくものもありますので、使用する前に必ず、ボイスやマルチなどをバックアップしておいてください。
 これらのMIDIデータを使用して、損害などが生じた場合でも、おいらは一切責任を持ちません。 
 また、SY99でMIDIデータを受信できるよう「UTIILITY」の「MIDI」の設定を以下のように変えておいてください。
 ・「Note on/off」・・・・・・・・・Onにしてください。
 ・「Program change」・・・・・Onにしてください。
 ・「Device Number」・・・・・・Allにしてください。
 ・「Bulk Protect」・・・・・・・・・Offにしてください。
 さらに、「UTILITY」の「SYS」−「04:Edit Confirm」を「off」にしておいてください。

 そして、ここではシェアウェア(2,000円)のシーケンスソフト「Music Studio Standard」を使用する前提で話を進めていきたいと思います。
 特に他のシーケンスソフトでもまったく構わないんですが、ソフトによっては使えない機能もあるかもしれませんし、そのソフトでどのような操作すればいいのかも説明しません(できません)のでご了承ください。

注意!

 MSSには、インスタルメント・マップでデバイス、チャンネルにSY99を割り当てることにより、MSSからパッチ選択ができるようになります。
 しかし、現在のバージョン(2.33)ではSY99のシンスタルメント・マップ・データ(imdファイル)がちょっと間違ってるところがあるみたいなので、下の「sy99.imd」ファイル(テキスト形式)をダウンロードして、MSSプログラムが入っているホルダに、上書き保存して下さい(新しいバージョンでは、直ってるかもしれません)。

SY99.Imdの修正ファイル(MSS用) SY99.imd

 DTMで曲を作成していく場合、曲データを入力していく以外に、音色の作成、各チャンネルの音色設定、エフェクトやパンの設定、などを行う必要があります。
 問題は、パソコン側から操作できるかどうかなので、これらの操作ができるか実験を行いたいと思います。

 音色の作成は敷居が高そうなので、とりあえず各チャンネルの音色設定から始めましょう!

実験その1 バンクセレクト

バンクセレクトって 

 まずは、音色の切り替え、つまりバンクセレクトとプログラムチェンジからいってみましょう!
 GM音源でないSY99ではプログラムチェンジだけでは全ての音色を選択できません。
 コントロールチェンジを使って、バンクセレクトというものをしなくてはならないんですね。
 ちなみに、バンクセレクトはコントロールチェンジの0番と32番を使用します。

 GS音源やXG音源なんかを使っている方は、そう難しくないかもしれませんが、バンクセレクトとはどういうものか簡単に説明してみましょう。

 GM音源ではメロディ用の音色が128ありますが、これらはプログラムチェンジで選択できます。
 しかし、GS音源やXG音源などは数百種類の音色が搭載されていて、いくつかのバンクに分けて音色を格納しています(プログラムチェンジで選択できるのは128種類までなので)。

 よって、プログラムチェンジの前にバンクセレクトを行ってやると、どのバンクの12番目の音色を使うといった具合に、128以上の音色を扱えるんですね。

SY99のバンク構成

 ただ、SY99で気を付けなくてはならないことは、バンクの構成がちょっと変わっていて、バンクの選択によって音色だけじゃなくて発音モードも切り替えるんですね。

表1 SY99バンク構成 ※参考SY99マニュアル応用編p385
Bank
Bank No
(MSB),(LSB)
PrgCng No
備考
Voice Internal
1
($00),($00)
01〜64
($00〜$3F)
ボイスモードの時
Card
2
($00),($01)
Preset1
3
($00),($02)
Preset2
6
($00),($05)
Multi Internal
17
($00),($10)
65〜80
($40〜$4F)
マルチモードの時
Card
18
($00),($11)
Preset
19
($00),($12)
Voice
in Multi
Internal
33
($00),($20)
01〜64
($00〜$3F)
マルチモードでボイスセレクト
Card
34
($00),($21)
Preset1
35
($00),($22)
Preset2
36
($00),($25)

 表1を見てください、バンクの1から6までは「VOICE」の選択、17から19までは「MULTI」の選択、33から38までは「MULTIモードでのVOICE」選択という風に、ちょっと変わったバンク構成ですね。
 GM音源をはじめDTMで通常使う音源は、初めから16チャンネル、つまり16パートの演奏が可能な状態ですが、SY99では16パートの演奏をするときは「MULTI」モードにしなくてはならないんです。

 具体的に言うと、1音色(1チャンネル)のみで演奏を行うときは「VOICE(バンクの1〜6)」の選択だけでいいですが、通常のアンサンブル演奏では、[MULTI」のバンク選択をしてから、さらに「VOICE IN MULTI」バンクで各チャンネルのボイスを選択しなくてはならない訳です。

 ちなみに表1では$00などの表記が見られますが、これは16進数の表記です。
 通常、10進数と区別するために値の最初に「$」や値の最後に「H」をつけて区別します。
 ですから、「$00」、「00H」、10進数の「0」は同じ値ということになります。
 ここでは、書き方を統一するということで、16進数の場合「△△H」、10進数の時は単に△△という風に書いていきたいと思います。

実験1-1 MIDIでSY99の「Voice-P1-01」を選択してみる。

 では、まずコントロールチェンジ、プログラムチェンジを使って「VOICE」のプリセット1のバンクAの1番目の音色「AP:Rocks」の音色を選択して、音を鳴らしてみましょう。
 ちなみに分かるとは思いますが、この場合のバンクAはバンクセレクトとはなんの関係もありません。
 SY99で音色の格納してるところを便宜上バンクA,B,C,Dと呼んでいるだけです。

 バンクセレクトはコントロールチェンジ0番(MSB)と32番(LSB)を使って行うんですが、SY99では0番(MSB)は00H固定です。
 32番(LSB)の値を変えることによって、バンクを切り替えることができますが、例えばこの値が02Hの時はBANKbRのVOICE−Preset1を選択できます(表1で確認して下さい)。
 さらにプログラムチェンジで値を00Hにすると、そのバンクの1番目に入っている音色、「AP:Rocks」が選択されます。

 関係ないけど、おいらが素人目に思うに、表1のようにBANKb烽oCb燻タ際に指定する値と一つずれているのは、混乱しやすいと思いませんか。
 まあ、とりあえずイベントの挿入で、次のようにデータを入れてみましょう(どのシーケンスソフトでもかまいません)。

 1 コントロールチェンジ0番(MSB)で値を00H(0)を設定
 2 コントロールチェンジ32番(LSB)で値を02H(2)を設定
 3 プログラムチェンジでチャンネルに01H(1)、値を00H(0)に設定
  ※16進数の後のカッコの数字は10進数になおしたものです。

 ちなみに、以下のファイルがこの実験で使ったMIDIファイルです。

「AP|Rocks」選択MIDIデータ sy99sp01.mid

 MSSを使っているなら、パッチの選択で「プリセット1ボイス」の「A−01 AP|Rocks」を選択してから、メニューの「実行」ー「トラックの初期か情報の挿入」で「トラックのインスタルメントの挿入」にチェックを入れて「OK」をクリックしてやれば、自動的に上の3つのイベントが作成されます。
 その前に、パッチを選択した時点でSY99の設定がリアルタイムに変わっていきますけどね。

 イベントが作成できたら再生ボタンを押してみましょう。
 再生する前に、SY99で違うボイスあるいはマルチモードにしてから再生させると実験結果がよく分かります。
 どうですか、SY99の設定は変わりましたか。

うまくいかないあなたへ

 もし、再生しても変わらない時は以下の項目をチェックしてみてください。
 それでもうまくいかないときは、シンセサイザー関連の掲示板で状況を教えて下さい。

・MIDIケーブルの接続はうまくいっているか(ケーブルのINとSY99のOUT、ケーブルのOUTとSY99のINが接続されているか)

・デバイスの選択でMIDIOUTや外部音源等が選択されているか(デバイスが内部音源などに設定されていれば、SY99にデータが送信されません)

実験1-2 MIDIでSY99の「MULTI-P-16」を選択してみる。

 次はマルチを切り替えてみましょう。
 まっさらな状態にするために、ファイルの新規作成でデータを初期化してやりましょう。
 今回は、プリセットマルチの16番「Fork」を選択してみましょうか。

 1 コントロールチェンジ0番(MSB)で値を00H(0)を設定
 2 コントロールチェンジ32番(LSB)で値を12H(18)を設定
 3 プログラムチェンジでチャンネルに01H(1)、値を4FH(79)に設定

 うまくいったでしょうか。
 形は一緒で、設定する値が違うだけなので、そう難しくはないと思います。 

 ちなみに、以下のファイルがこの実験で使ったMIDIファイルです。

「MULTI−P−16」選択MIDIデータ sy99sp02.mid

実験1-3 マルチのボイスを操作する。

 通常は、SY99でアンサンブル演奏をさせると思いますが、その場合、SY99をマルチモードにして、マルチのボイス、つまり1〜16チャンネルに演奏させたい音色に設定する必要があります。
 これは表1の「Voice In Multi」のバンクを使うことで実現できます。

 具体的には、実験1−2で行ったようにまずマルチのバンクを選択し、その後「Voice in Multi」で使いたい音色をチャンネル毎に設定してやります。
 ちなみに、マルチは登録して使用たいと思いますので、インターナルのバンクを選択します(インターナルマルチのの16番)。

 それでは、今回はインターナルマルチの16を選択して、チャンネル1のボイスに「P1−A01 AP|Rocks」、チャンネル2のボイスに「P2−A10 SC:Healing」を設定してみましょう。

 やはり、まっさらな状態にするために、ファイルの新規作成でデータを初期化しましょう。

・マルチ(インターナルバンク)の16番を選択
 1 コントロールチェンジ0番(MSB)で値を00H(0)を設定
 2 コントロールチェンジ32番(LSB)で値を10H(16)を設定
 3 プログラムチェンジでチャンネルに01H(1)、値を4FH(79)に設定
・マルチのチャンネル1のボイスにプリセット1の「A01 AP|Rocks」を設定
 4 コントロールチェンジ0番(MSB)で値を00H(0)を設定
 5 コントロールチェンジ32番(LSB)で値を22H(34)を設定
 6 プログラムチェンジでチャンネルを01H(1)、値を00H(0)に設定
・マルチのチャンネル2のボイスにプリセット2の「A10 SC:Healing」を設定
 7 コントロールチェンジ0番(MSB)で値を00H(0)を設定
 8 コントロールチェンジ32番(LSB)で値を25H(37)を設定
 9 プログラムチェンジでチャンネルを02H(2)、値を09H(9)に設定

 とりあえず再生してみましょう。
 ちゃんとSY99の設定は変わったでしょうか(マルチのエディット−Voiceで確認!)。
 うまくいったら、本当にマルチティンバー演奏が可能か、2小節目に適当なノートデータを入力して再生させてみましょう。

 以下のファイルが、実験その3のデータです(ノートデータ付き)

SY99アンサンブルMIDIデータ sy99sp03.mid

 以上でバンクセレクトの実験は終わりです。
 なんとか、マルチティンバー演奏の音色選択の操作はMIDIから操作できそうですね!

〜第3章 End〜