第4章 実験!パソコンでSY99をMIDI操作
       バルクダンプ基礎編

バルクダンプって

 おいらは、システム・エクスクルーシブ・メッセージというものを知るまで、バルクダンプ機能っていったい何のためにあるんだろうと思ってたんですけど(SY99単体でしか使ってなかったもんで)、ものすごく便利な機能というか、DTMでシーケンサーを操作するのに不可欠な機能いうことが分かりました。

 ボリュームやパン、エフェクトといった設定は、通常MIDIのコントロール・チェンジを使って行いますが、SY99独自の機能などは、システム・エクスクルーシブ・メッセージあるいはバルクダンプ・データといったものを使って設定します。
 間違ってるかもしれませんが、バルクダンプ・データはシステム・エクスクルーシブ・メッセージの1種で、特定のパラメータなどを一つ一つ変えるのがシステム・エクスクルーシブ・メッセージ、ボイス丸ごとのデータやマルチ丸ごとのデータ、サンプリング・データなど大きな?、内容をいじくれない(いじくるのが困難な)データのことを、バルクダンプ・データと区別していいのかなと思っています。

 実験をいろいろやったんですが、SY99のボイスやマルチの設定をコントロール・チェンジで変更できるものは少なかった(ほとんどない)もんだから、まず、演奏前の基本設定情報(以降、初期化情報といいます)を一気に設定できるバルクダンプ機能からやっていきたいと思います。
 それから、SY99で使用できるコントロールチェンジやシステム・エクスクルーシブ・メッセージを個別に見ていきたいと思います。

バルクダンプのメリット・デメリット

・パラメータを一つ一つ設定する必要がなく、一気に設定できる。
・ボイス、マルチ、サンプル(波形データ)もパソコン側から送れる。
・設定情報はSY99のエディット画面で行うので設定が簡単
・バルクダンプの中に、システム・エクスクルーシブ・メッセージを織り交ぜなくてはならない場合もある。
・バルクダンプだけでは、曲の途中で設定を変えられない。
・送信したときデータ漏れが生じる場合がある。

 使い方は簡単で、例えばSY99でマルチの設定−ボイスセレクト、パンの設定、エフェクトの設定なんかを一通りやってから、パソコン側のシーケンサーをリアルタイム・レコーディング状態にしてやって録音開始、「Utility」−「MIDI」−「Bulkdump」で「1multi」の実行、これでマルチの設定データがすべてひとかたまりで送られてくるんで、後はMIDIデータの一番始めで送ってやれば、16パートすべての設定がされて演奏されます。

実験その2 バルクダンプの送受信をやってみる。

 では、実際にバルクダンプ機能を使ってマルチの設定を変えてみましょう。
 とりあえず、実験ということで、インターナル・マルチのバンク1の設定をバルクダンプ送信でシーケンサーに保存して、MIDIデータを再生しインターナル・マルチの16番にその設定を送信してみましょう。
 ちなみにバルクダンプできるのはインターナルのデータだけで、プリセットのデータは送信できません(必要ないと言えば必要ないよね。送信したいときは、インターナルにコピーしてから操作すればできますけどね!)

 下が例として、マルチのバルクダンプの送受信手順です。
 ボイスやソングも同じような操作方法ですので参考にしてください。
 ちなみに、この実験のサンプル・データでは、演奏情報としてSY99データ・ライブラリにある「となりのトトロ」の「風の通り道」を使っています。
 当然、マルチもこの曲用のものを使っています。
 ライブラリにあるSY99形式のデータとサンプル・データのMIDIファイルを再生して聞き比べてみてください(当然同じものなんですが)。

 パソコンでMIDIファイル1つを再生させるだけで、SY99を設定、演奏させることができ、シーケンサーソフトじゃなくても、Windows標準のメディアプレーヤーでも再生できるのがポイントですよね。
 これで、SY99にフロッピーをつっこんで、マルチやシーケンス・データを長い時間かけてロードしなくてもよくなった訳です。

バルクダンプ実験データ
「風の通り道」となりのトトロより
sy99sp04.mid

バルクダンプ送受信の操作手順

1 まず、SY99側で「Utility」−「MIDI」−「Bulkdump」−「1multi」−「dir」の画面にしておきます。
2 MSSの1トラックを1チャンネルに設定します。
3 録音ボタンを押して、リアルタイム・レコーディングの状態にします。
4 SY99側で、インターナルのバンク1を選んでバルクダンプ送信。
5 MSSのイベントリストで内容を確認します。※注1
6 バルクダンプ・データのティックタイムを修正し、データをいくつか追加します。※注2
7 MIDIデバイスでSY99に接続されているデバイスを選択します(外部出力など)。
8 シーケンサーの再生ボタンを押します。
9 SY99の設定が変わり演奏されます。※注3
注1 バルクダンプの種類、数によってはMSSのイベント(バルクダンプのデータ)が同じデータに変わることがあります。その場合、スペシャルには順に登録されているので、イベントリストでスペシャルを選びなおしてください(偏見Tips参照)。
注2 バルクダンプはかなり大きなデータの固まりなので、リアルタイム・レコーディングしたデータをそのまま送るとデータが漏れる場合があります。それとデータ整理の意味からティック・タイムを変更した方がいいと思います。
 また、データの追加は図1の各番号に応じて、次の意味があります。
注3 設定が変わらない、演奏されないなどうまくいかないときは、第3章の「注意事項」や「うまくいかないあなたへ」を参考にしてください。

図4−1 サンプル・データの中身(トラック1の1部)

@ マルチのセレクト
  ここではインターナル・マルチの16番を選択しています(第3章を参考にしてください)。

A マルチのバルクダンプ送信
  「風の通り道」のマルチ・データ。データが大きいので2つに分かれています(イベントのスペシャルで選択し直しました)。

B 「EXIT」ボタンのシステム・エクスクルーシブ
  マルチの登録画面にするためにSY99の「EXIT」ボタンをリモートで操作します。

C 「F8」ボタンのシステム・エクスクルーシブ
  マルチの登録画面でストアするためにSY99の「F8」ボタンをリモートで操作します。

D 演奏情報
  通常の演奏用MIDIデータです。

偏見Tips!

  シーケンサーにおけるバルクダンプ・データ、システムエ・クスクルーシブ・メッセージの位置づけ

 別にたくさんのシーケンサー・ソフトを使って確認したわけでも、MIDIの専門書を読んだ訳でもないんですけど、バルクダンプ・データやシステム・エクスクルーシブ・メッセージは、シーケンサーの中でどのように管理されているか、分かっている(思いこんでいる)ことをすこし述べたいと思います。
 ここでは、システム・エクスクルーシブ・メッセージがどのようなものであるとか、専門的なことをいうつもりはありません(できません)。
 ただ、今まで試してきた経験上、これらのデータは、リアルタイム・レコーディングなどで記録しても、思ったとおりに記録されないんじゃないかなという疑問があるだけなんです。
 このことについて詳しい方がいたら教えてもらいたいという、質問の意味もあります(WEB上でいろいろ探したけど見つけられませんでした)。

 おいらは、シーケンサー・ソフトのFrive−Aさんのシェアウェア「Music Studio Standard」Voyetra社「MIDI Ochestrator Plus」を使ってるんですけど、システム・エクスクルーシブ・メッセージは通常のノート情報とかプログラム・チェンジ、コントロール・チェンジなんかと違う形で管理してるんじゃないかな、と思うんです。

 たとえば、MSSでは、リアルタイム・レコーディングでもシステム・エクスクルーシブ・メッセージは記録できるんですけど、ちょっと一筋縄ではいかないんですよ。
 ある1ボイスのバルクダンプ・データは大きいんで3つのシステム・エクスクルーシブ・メッセージに分割されるんですけど、便宜上そのメッセージをそれぞれ、SE1、SE2、SE3とします。
 リアルタイム・レコーディングしたら、イベントリストには、どのティックでシステム・エクスクルーシブ・メッセージを送信します、という風に記録されているんだけど、3つのイベントすべてのメッセージがSE3のものになってるんですね。
 おまけに、先に作っておいたシステム・エクスクルーシブ・メッセージもSE3のものになってしまうという。
 イベントエディットでスペシャルを選択し直してやればいいんですけど、16進数の羅列なんであ、どのメッセージが何番目のものなのか把握するのが結構大変です。
 特に16ボイス+1マルチ+2サンプル(波形データ)を送信とかなったら、忘れないうちにメッセージに名前を付けてやらないと、いったいどれがどれやら?
 MSSのスペシャルには、システム・エクスクルーシブ・メッセージや著作権情報やシーケンスとかを登録するんですけど、たぶんMSSの仕様上、このスペシャルへの登録は手作業の登録しか想定されておらず、リアルタイム・レコーディングで登録されることは想定してないんじゃないかと思います(間違ってたらすいません)。

 MOPでは、システム・エクスクルーシブ・メッセージ用のバンクが用意してあって、手作業ででメッセージを作成したり、シンセからバルクダンプ送信でメッセージを登録します。
 これだけでは再生してもシステム・エクスクルーシブ・メッセージは送られないんで(設定によっては自動送信できるけど)、MIDIのイベントで、このティックのタイミングで、バンク○○に登録してあるメッセージを送信するといったイベントを挿入してやらなくてはならないんです。

 このように、(おいらが知ってる範囲では)システム・エクスクルーシブ・メッセージは、ノート情報などとは別に考えて管理してやる必要があると思うんですね。
 管理といっても、分かりやすい名前をつけて、どのタイミングで使うといったことを考えるだけなんですけどね。
 まあ、バルクダンプ分のMIDIデータと、演奏用のMIDIデータを分けて作成して、後でマージしてやれば比較的管理は楽なんですけど、もっと管理しやすいシーケンサーソフトが欲しいなーと思ってる今日このごろです。

〜第4章 End〜